大宮盆栽デイズ - Omiya Bonsai Days -

冗談めかす埼玉のファインマン

共感とともに学べる入門書「盆栽時間」

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盆栽時間(山本順三、山と溪谷社)を読みました。盆栽の鑑賞方法などについてわかりやすく解説しています。非常に読みやすく、著者の言葉言葉に共感を覚えたり、学びを得ることができました。入門書として最適だと感じました。

わかりやすい言葉で丁寧に解説

非常に読みやすいポイントとして、難しい漢字にルビが振られていること。解説もわかりやすく、「どう鑑賞するか」を言葉で丁寧に綴っています。それらの言葉に、とても共感できるところが多くありました。

盆栽によって「場」が変化する

特に良かったのは、私がとても共感した部分である「床の間に風が吹く」という著者の表現。その部分を引用します。

盆栽を飾った床の間が信州の山里にも、日本海の荒海にも、寒風吹きすさぶ北の大地にも感じられる。床の間に風が吹いているんです。
(盆栽時間、山本順三、P005より)

「ポン」と存在している盆栽一つで、その場があらゆる場所に居るような感覚になることを言葉で説明しているように思います。この感覚を言葉にできることがとてもすごい!と思いました。

私の感情を代弁した著者の表現

盆栽樹形のひとつである「斜幹(しゃかん)」についても次のように解説しています。

不安定でありながら、絶妙のバランスで安定している。ことばにすると妙なものですが、この不安定さのなかに表現された安定感を見つけることが、斜幹樹の楽しみといえるでしょう。
(盆栽時間、P056より)

以前、このブログで紹介した「半懸崖の小真弓から感じる静寂」という記事と同様の気持ちを著者が言葉にしてくれているように感じます。
www.bonsai.bz

残念、この本は現在販売休止中

その他にも、読み応えがある内容が盛り込まれています。現在、この本は販売されていないようです。驚きました、こんなに素晴らしい本なのに。本当に、盆栽愛好家の人口が減っているのでしょうね。このような本を Kindle 版にするのは難しいのだろうか。紙の出版が難しくなった本は、電子化されたら良いと思うのですが。